プロバイダ乗り換え防止の鍵となるNPS向上

プロバイダの乗り換え率は、落ち着きつつあるものの、問題を抱えている加入者は60%に達しています。この結果は、世界の市場を「成熟」「新興」「成長」の3つのカテゴリに分類し、全世界で約12,000人の加入者を対象にノキアが実施した、「2014 Acquisition and Retention Study Report(顧客獲得と維持に関する研究レポート2014年度版)」から明らかになったものです。

また、同レポートでは、プロバイダが提供する「ネットワークとサービスの品質」が重要な課題である事実を示しています。全世界のモバイル加入者の41%が、「たとえ料金が高くても高品質なネットワークを利用したい」と回答しているのです。

プロバイダ乗り換えの主な要因として「ネットワークとサービスの品質」は、「費用と課金方法」に加えて上位にランクインしています。この傾向は続いており、加入者の約40%が「1年以内に他社に変更する可能性がある」と回答しています。

実際、データ利用に関して多くの加入者がトラブルを経験しています。具体的な問題として、「ダウンロード速度の遅さ(20%)」「データ量制限(17%)」「アプリケーションの不具合(16%)」といった回答が寄せられています。

 

 

プロモーター(推奨者)とデトラクター(批判者)

同レポートは、家族や友人からの推奨がプロバイダ乗り換えの重要な判断基準であることを明らかにしました。

この数か月の間にプロバイダを乗り換えた加入者は、その判断に至った経緯として、「インターネット」と「家族や友人からの推奨」の2つの要因を挙げています。インターネットの重要性は依然として高く、同時に、特に親しい間柄にある知人からの推奨を重視する傾向が増加しているのです。

一方、業界全体で顧客ロイヤリティの重要性も増しています。これを読み解くための最も著名な指標がNPS(ネット・プロモーター・スコア)で、加入者がプロバイダを推奨する度合いを測定します。推奨すると回答した加入者は「プロモーター(推奨者)」、推奨しないと回答した加入者は「デトラクター(批判者)」と呼ばれます。プロモーターの数からデトラクターの数を差し引いた数値が正味のNPSとなります。

NPSと収益増加には大きな相関関係があります。競合他社よりNPSが高いほど、収益性は高くなります。ロイヤリティの高い顧客ほど支払総額が増え、友人や同僚にプロバイダを推奨する傾向が強くなるためです。このようにプロモーターは、企業にとって最も有効なマーケティングツールの役割を果たします。

NPSの向上に重点を置いた施策として、CEM(カスタマー・エクスペリエンス・マネージメント)があります。Heavy Reading社のホワイトペーパー「Managing Customer Experience of the Network(ネットワークのカスタマーエクスペリエンスの管理)」でも、プロバイダが加入者を維持する手段としてCEMの重要性を強調しています。簡単に競合他社に乗り換え時代においては、顧客を獲得してから維持できるかどうかが勝敗の鍵となります。

顧客ロイヤリティを詳細に把握

NPSの結果を最大限に活用して優位性を向上させるためには、定期的にアンケートを行うだけでなく、継続的なコミュニケーションを通じてフィードバックを収集し、顧客満足度に影響する要因をより詳細に把握する必要があります。そのためには、NPS等のロイヤリティスコアとカスタマーエクスペリエンスのパフォーマンスを関連付ける必要があります。ロイヤリティに最も影響を与えるKPI(主要業績評価指標)を把握することで、改善に注力し、デトラクターをプロモーターに変えることが可能となります。

ノキアの「CEM for Loyalty Scores」は、過去のプロジェクトから得た幅広いCEMノウハウによりロイヤリティスコアを反映したカスタマーエクスペリエンス指標を測定できるソリューションです。

CEM for Loyalty Scoresでは、顧客ロイヤリティに影響しているKPIに加え、悪化している評価を瞬時に特定することが可能。マーケティングや技術部門等、様々な部署で情報を共有できるため、最も顧客ロイヤリティ改善に効果のある分野に集中することができます。

Telecom Italia*、クレームを75%削減

Telecom Italia社はサービス品質管理の重要性を認識している通信事業者です。同社も他の通信事業者と同様に、激化する競争やアプリケーションの増加に伴い複雑化するサービス等の問題に直面しています。

そこでTelecom Italia社は、エンドツーエンドのネットワーク監視やトラブルシューティングの精度を向上するため、SOC(サービス運用センター)を設立しました。ネットワークから取得したトレンド情報を、顧客価値向上に活かすための取り組みを実践しています。

具体的にはTelecom Italia社のSOCでは、サービス品質やカスタマーエクスペリエンスに影響する様々な要因を反映した、エンドツーエンドの11種類のサービスモデルを活用しています。データ同士を関連付ける分析エンジンをサービスモデルに組み込み、状況変化に応じてサービスモデルとKPIを改善していくための700のルールを運用することで、目覚ましい成果をあげています。

これにより、深刻な不具合による顧客のクレームが75%削減しました。さらに、ネットワーク可用性を個別セル単位で約20%向上した他、サービス品質をエンドツーエンドで把握することで管理を簡素化し、運用コストを削減しました。

*Telecom Italia社の事例を取り上げたHeavy Reading社のホワイトペーパー「Managing Customer Experience of the Network(ネットワークのカスタマーエクスペリエンスの管理)」(英語)はこちらをご覧ください。