5Gネットワーク:新時代に向けた全く新しいアーキテクチャ

5Gのユースケースとして、UHD(超高精細)ビデオ、工場のステアリングロボット、ネットワークとつながる医療センサー、スマートシティのインフラストラクチャの制御等が想定されています。また、現時点ではまだ予測できない将来的な社会やビジネスのニーズにも柔軟に対応していく必要があります。そうした中で欠かせないのが信頼性です。ノキアは従来のベストエフォート型のモバイルブロードバンドとは一線を画したテクノロジーの統合により、無限のキャパシティとカバレッジを備えた真に信頼性の高い通信を目指しています。

ひとつのテクノロジーであらゆるニーズに対応

第5世代モバイル通信(5G)の需要は増加し続けています。5Gテクノロジーには、1ミリ秒以下のレイテンシ、10Gbps以上のピーク・データ・レート、常時100Mbpsのスループット、2010年時点から1万倍に増大したキャパシティ等、従来の基準とは比較にならない高レベルのパフォーマンスが要求されます。また、現在の100倍以上の台数のデバイスをサポートすると共に、非常に高い信頼性を確保する必要があります。ネットワークの制御や安全対策にもモバイル通信が利用されるようになるためです。

ニーズやユースケースごとに必要なシステムを個別構築するという方法もありますが、今後求められるのは、ネットワークの様々な構成要素をより高度なレベルで連携または統合し、ひとつのシステムとして5Gを構築することです。

全てのネットワーク機器は仮想化され、ひとつの統合サービスから切り出された「スライス」として提供されます。通信事業者は、このインフラストラクチャを使用してネットワーク全体をカバーした仮想インスタンスを作成することができます。

アクセスネットワークからコアネットワーク、OSSネットワーク、セキュリティネットワーク、分析ネットワークに至るまで全てのネットワーク機器を仮想化し、ひとつの統合サービスの下でスライスを利用できるようになれば、各地域のネットワークインフラストラクチャ(固定、無線、Wi-Fi、ピア・ツー・ピア、メッシュ、アドホック等)と組み合わせ、ネットワーク全体をひとつの仮想インスタンスとして構築することができます。また、各スライス及び仮想インスタンスは、様々な業界(メディア、自動車、医療、ロジスティクス、小売、公益事業等)のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。

ネットワークパフォーマンス、ネットワークデータ、ネットワークスライスを活用したビジネスモデル

ノキアはこの構想に基づいて未来の5Gアーキテクチャを作成しました。様々なサービスニーズ、トラフィック変化、トランスポート等のネットワークトポロジに対し、無線アクセス及びコアネットワークリソースを自動的かつ動的に制御することが可能となります。ほぼ全てのネットワーク機能はソフトウェアによって定義され、様々な認識技術によって自動的にオーケストレーションされます。コンテンツ及びプロセスはそれを必要とする場所の最寄りのネットワークから配布されます。

プログラム可能な5Gマルチサービスアーキテクチャ

ノキアのプログラム可能な5Gマルチサービスアーキテクチャは、通信事業者の新たなビジネスチャンスを生み出します。例えば「コネクティビティ+」モデルでは、自宅や外出先で視聴できるHDやUHDビデオ等のウルトラ・ブロードバンド・サービスと、企業向けのバーチャル・リアリティ・サービスを提供しています。いずれも、エンドユーザやコンテンツ、サービスプロバイダ向けに保証されたサービスレベルに基づいています。

他にも、ネットワーク上の膨大なトランザクションデータ及び制御データを利用し、リアルタイムまたは非リアルタイムのコンテキストデータを有効化するサービスがあります。これによって得られる情報は、拡張現実サービスプロバイダ、公共交通管理、工場及びロジスティックシステム、公益事業等の多くの業界で利用可能です。

さらには、専用仮想サブネットワークやネットワークスライスを、「サービスとしてのネットワーク」として業界やユースケースごとに販売していく収益モデルも考えられます。大量の個人用ヘルスセンサーの接続に必要なネットワーク機能は、高品質のUHDビデオをTVに配信する機能とは全く異なり、新たな用途での需要が期待できるのです。

アーキテクチャの提供

業界として標準化はまだ始まっていないものの、ノキアは5Gアーキテクチャ要件について明確なコンセプトを掲げており、大部分の要素は既に実用化に向けた準備が整っています。プログラム可能な5Gマルチサービスアーキテクチャに関する確固とした理論に基づき、機能提供に向けて概念検証に取り組んでいます。

一例として、サービス要件の変化やネットワークスライスのニーズ、アプリケーション要件やカスタマーエクスペリエンス等に合わせて自動で調整を行う、自己認識型のソフトウェア定義トランスポートネットワークがあります。トランスポート用のSON(自己管理ネットワーク)ソリューション及び、SDN(Software Defined Networking)ドメインで機能するマルチベンダ対応のファブリックコントロールから構成されるものです。

ノキアは、仮想的なコアネットワークに新たな機能や機器を追加することができるプログラム可能なAPIの導入を始めています。このAPIは機器の設定に数時間から数日を要していた従来の方式とは異なり、コアネットワークの動作にリアルタイムで適合します。その結果、新しいネットワークスライスやモビリティプロファイル等の変化する要求に対して、コアネットワークがリアルタイムまたはオンデマンドで動的に対応できるようになります。

ノキアは多岐にわたる課題を見据えて5G開発を牽引しています。欧州では複数の業界規模のプロジェクトに参加し、5G-PPPプロジェクトでは5G NORMA(5G Novel Radio Multiservice adaptive network Architecture)を主導しています。さらに、主要な通信事業者と共同の5Gイノベーションプロジェクトの運営や、欧州、米国、中国の大学との5Gテクノロジー実現に向けた取り組みを続けています。