近づく5G時代の到来

2020年の5G実用化に向けた革新的な取り組みが続く中、第2回「Brooklyn 5G Summit」において、5Gを支えるテクノロジーやアーキテクチャ、エコシステムが紹介されました。5Gにおける重要なポイントの1つは、新たなネットワークアーキテクチャの構築です。ノキアが提唱する「Cognitive and cloud Optimized Network Evolution(CONE: コグニティブでクラウドに最適化されたネットワークエボリューション)」を実現することで、通信事業者は変化し続けるエコシステムに対応し、新たな市場要件に合わせて業務を変革していけると考えられています。

5Gは、可能性の模索段階を経て、現在は具体的なネットワーク構築の検討段階へと進展しています。通信事業者とベンダ各社もまた、2020年の5G実用化に向けて革新的な取り組みを続けています。先日開催された第2回「Brooklyn 5G Summit」では、そうした中で進化してきた5Gを支えるテクノロジーやアーキテクチャ、エコシステムが紹介されました。ノキアとニューヨーク大学NYU WIRELESS研究センターの共同主催によるこのサミットでは、学術機関や通信事業者、大手ネットワークベンダから集まった5Gの研究者による積極的な意見交換を通じて、今後の協力体制についての可能性が議論されました。

標準化や潜在ユーザとの関係構築等、概念実証からの前進にはまだ数多くの課題が残されているものの、業界が共通ビジョンの下で協力し、5G実現の要となるテクノロジーが具現化しつつあることを実感できる機会となりました。

こちらのビデオで、イベントのハイライトや参加者の声をご紹介しています。

プロトタイプによる可能性の証明

要となるテクノロジーは順調な歩みで進化を続けており、参加者は5G実現に向けたプロトタイプ機器を自らの目で確認することができました。例えば、5Gに必要不可欠となる最大100 GHzまでの全周波数帯の利用実現に向けて、フェーズドアレイ技術を使用したMassive MIMOやビームステアリングのデモが実施されました。また、ノキアとナショナルインスツルメンツは、無線接続によって10 Gbpsのデータレートを実現する高速モバイルネットワークを披露しました。

ノキアの技術イノベーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるホセイン・モーイン(Hossein Moiin)は、12か月前まではまだ課題を模索する段階にあったのが、今や既にその解決策を見出しており、この1年で業界がいかに大きく進展してきたかを強く訴えました。

5G時代の新たなアーキテクチャ

5G実現に向けた主なポイントの1つは、ネットワークアーキテクチャの構築です。通信アーキテクチャは、垂直統合された個別のネットワーク機器を基盤とするものから、コグニティブでクラウドに最適化され、シームレスな運用が可能なものへと移行していくと考えられます。

こうしたアーキテクチャにおいては、分散クラウドとの連携によって拡張性と柔軟性を確保し、エッジでの低遅延スイッチングやマルチ接続による高信頼性をサポートすると共に、ユーザプレーンとコントロールプレーンのスマートスケーリングを個別に適用できなければなりません。また、セキュリティ対策とプライバシー保護の機能が組み込まれ、省エネ、低コストの運用が可能であることが必要です。さらに重要な点として、きわめて広範囲をカバーできるようにすることが欠かせません。

アーキテクチャに関する8つの主な考慮点

ノキアが発表したホワイトペーパー「Network architecture for the 5G era」では、アクセスからサービス提供まで、下記の8つの主な分野(ドメイン)を挙げて各要件への対処法が示されています。

コグニティブドメイン : ネットワークやソーシャルネットワーク等の外部ソースからデータを収集します。データはリアルタイムで処理され、問題の根本原因の特定の他、利用者や通信事業の業務影響の有無の判断に役立てることができます。

サービス提供ドメイン: 許可されたサードパーティが、管理された安全な方法で通信事業者のネットワークにアクセスできるようにします。これにより、モバイルユーザ、企業、垂直市場にアプリケーションやサービスを展開することができます。

共有データドメイン : 共有データアクセスのための共通データリポジトリによって、可能な範囲で個々のアプリケーションのデータサイロ化を防ぎ、一貫したKPI(主要業績評価指標)を提供します。

ソフトウェアアプライアンス環境 : ネットワークのあらゆる機能やサービスをソフトウェアで提供します。ネットワーク構成要素の実装に必要な物理リソースを仮想化して、インフラストラクチャマネージャを通じてアクセスできるようにします。

仮想化フレームワーク : 実行プレーンと自動化プレーンで構成されます。実行プレーン上のコンピューティング、ネットワーキング、及びストレージリソースには、仮想化レイヤを通じて各ネットワーク機能がアクセスします。自動化プレーンは、ネットワーク機能の作成、削除、拡張といった操作や基盤となるリソースの割り当てを通じてリソース管理を自動化します。

無線アクセスネットワーク : 5G無線アーキテクチャは、LTE-AdvancedやWi-Fi等の既存システムを新たなテクノロジーと統合して、超高密度の展開、マシン・タイプ・コミュニケーション、信頼性の高いコミュニケーション、最小遅延を可能にします。コンピューティングリソースを無線ネットワークの近くに配置し、管理機能や調整機能をより中央に配置するため、ワイド・エリア・ネットワークとのスムーズな統合が可能になります。

オーケストレーション及び管理 : 複数レベルでのオーケストレーションを提供する必要があります。例えば、通信事業者が利用者に対して提供するサービスオーケストレーション、あるいは、仮想化インフラストラクチャ・マネージャ・ドメインによって実施されるクラウドサービスや、利用可能なリソースの管理等が挙げられます。

セキュリティ及びプライバシー : ネットワークへの脅威は、迅速に検出して対処しなければなりません。そのためには、セキュリティとプライバシーに配慮したネットワーク運用を可能にする多面的で一貫した包括的アーキテクチャが必要です。セキュリティ及びプライバシーアーキテクチャは中断なく機能し、データの収集、分析、対応を自動で行い、ネットワークの外部にまでわたって脅威を評価する必要があります。

アーキテクチャのビジョン

5G時代のネットワークに向けて我々が提案するこのアーキテクチャを、「Cognitive and cloud Optimized Network Evolution(CONE: コグニティブでクラウドに最適化されたネットワークエボリューション)」と呼んでいます。これを実現することで、通信事業者は変化し続けるエコシステムに対応し、新たな市場要件に合わせて業務を変革していけると確信しています。
実地検証によって展開上の課題に具体的な解決策がもたらされ、新たな製品が研究開発の段階を経て市場に投入されようとしています。相互協力の新たな気運が高まる中で、5Gはその実現に向けて着実に進歩しています。