新しいアーキテクチャと高い周波数帯の活用で「5G」を実現

Date: 
20 November 2015
Location: 
日本

新しいアーキテクチャと高い周波数帯の活用で「5G」を実現

次に、ノキア本社で無線パフォーマンス特別研究員を務めるハリー・ホルマが5Gへ向かうモバイルネットワークの最新技術動向を解説しました。ホルマは今後の社会を「プログラム可能な世界(プログラマブルワールド)」と位置付け、そのためにデータレートが高く容量が大きいだけでなく、大量のデバイスの収容能力や低遅延といった性能が求められている「5G」が必要な技術であることを示しました。

「LTEは150Mbpsのデータレートで、10ミリ秒の遅延といったスペックを持っています。5GではこうしたLTEの性能をそれぞれ10倍以上に高めていくことが求められています。10倍のデータレート、10倍のカバレッジや容量、10倍のデバイスの電池の持ち、そして10分の1の遅延やチップセットのコストです。これらが実現することで、新しいユースケースを数多く提供できるのです」(ホルマ)。警察や消防などの公共安全ネットワーク、自動車の情報化、IoTなどの多量のデバイスの収容といったユースケースを生み出すためにも、5Gが必要なのだと説明します。

ホルマは、5Gの実現にはネットワークアーキテクチャの進化が必要だと説きます。「無線ネットワークの進化というと、新しい変調方式や高いデータレートなどが注目されますが、重要なのはアーキテクチャです。クラウドがどのように無線ネットワークで活用されていくかが、今後の大きなポイントになるでしょう。ノキアでは、基地局の機能をレイヤーで整理し、最も低いレイヤーの無線機能を残して、それ以外はローカルクラウドに移すアーキテクチャを開発しました」。Experience Dayでは、ノキアのサーバーソリューションである「AirFrame」を使ったクラウド型のアーキテクチャに基づいた無線基地局のデモも行い、拡張性や5Gへの展開に適したソリューションであることをアピールしました。

5Gで採用が見込まれる無線技術の動向についての解説もありました。「これまで、モバイルネットワークでは3.5GHzまでの周波数を利用してきましたが、5Gではデータレートや容量を高めるためにより高い周波数帯を使うことが求められています。その中で、6GHz未満の周波数帯をフェーズ1と捉えて、早期の標準化と2020年の商用化を目指します。その後、より高い周波数のセンチメートル波(30GHzまで)やミリ波(30GHzから90GHz)の実用化を進めるという段階的な提供になるでしょう。高い周波数を使えるようになると、波長が短くなるためにアンテナの物理的サイズが小さくでき、多くのアンテナをまとめて設置して複数チャネルの送受信を同時に行うマッシブMIMOが可能になります。高い周波数帯で、効率やパフォーマンスを向上させるために有効な技術です」。

ただし、5Gはまったく新しい技術というわけではないとホルマはコメントします。LTEなどの既存技術と密に連携させて、LTEと5Gのアグリゲーションなども視野に入っていると語ります。柔軟な分散アーキテクチャの採用により、複数の技術を束ねてユースケースが求めるサービスを提供していくとの考えです。

5Gのターゲットとして、ホルマはトラフィック密度という指標を示して説明を続けました。「トラフィック密度は、単位面積当たりのトラフィックを示したものです。現在の東京でトラフィック密度が高いエリアだと、およそ1平方キロメートル当たり1Gbpsのトラフィックがあると推測しています。ノキアでは、5Gは現在よりも高い周波数を使うことで、現状の1000倍に相当する1平方キロメートル当たり1Tbpsを設計上のターゲットに設定しています。これは、現在の日本のトラフィック総量に匹敵するもので、かなり高い目標値です。日本でも2020年までに、スタジアムやホットスポットなどのトラフィックの高い場所を5Gのエリアでカバーし、高いトラフィック密度に対応できるようにしなければなりません」(ホルマ)。ノキアはこうした高い目標を掲げて、2020年までに日本で商用の5Gネットワークがスタートできるようにするための協力を惜しまないことをアピールしました。

5G、基地局のクラウド化などノキアの最新技術を紹介

最後に、シニア・テクノロジー・エキスパートの野地真樹が、Experience Dayの展示のトピックを紹介しました。1つ目がTDDとFDDのCA(キャリアアグリゲーション)、2つ目が73GHz帯のミリ波による5Gの伝送実験、3つ目がノキアのサーバーを使った基地局のクラウド化です。

TDDとFDDのCAは、ノキアの商用の基地局装置とクアルコムの商用チップセットを使った端末の組み合わせで、会場でデモを実施しました。「国内でも3.5GHz帯の40MHz幅が3事業者にTDD方式のLTE-Advanced用として割り当てられました。これをいかに活用するかが課題です。デモでは、2キャリアのTDDと1キャリアのFDDを束ねた3キャリアのCAにより、370Mbpsのデータレートが得られることを示しています。TDDとFDDを連携させたサービスの提供に、有効なソリューションです」と野地は説明します。

野地が「全力を注いでいきたい」と意気込みを表明した5Gでは、73GHz帯の伝送のデモについて紹介がありました。「NTTドコモとの共同実験では屋外で伝送実験を行っています。Experience Dayの会場では、屋内で2.5Gbps程度のスループットが得られることを確認できるデモを行うほか、NTTドコモが開発したビームフォーミングした5Gのビームを可視化するツールも体験できます」(野地)。

基地局のクラウド化では、日本初公開となるノキアのサーバーシステム「AirFrame」によるデモを行うことを説明しました。野地は、「基地局の機能を物理層に近いL1と、上位層のL2、L3のレイヤーに分け、L2とL3の機能をノキアが提供するサーバーであるAirFrameに搭載してクラウド上で運用するデモを実施します。今後のネットワークは、基地局もコアネットワークもクラウドをベースにして提供されると考えています。モバイルネットワーク特有の処理を可能にするAirFrameをはじめとして、ノキアはデータセンターに関わるクラウドのソリューションをすべて提供していく計画です」と語り、ホルマが説明した「アーキテクチャの進化」への対応が実際に進んでいることを印象づけました。

 

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