「5G」が推進するモバイルネットワークとITが融合した世界 ――ITpro EXPOセッションリポート~LTEの進化形と新技術を組み合わせが現実解 ドコモとノキアの共同研究も

Date: 
30 October 2015
Location: 
日本

ITの総合展示会「ITpro EXPO」(主催:日経BP社)の「メインシアター」では、「次世代移動通信「5G」って何?、何が変わる?」と題したセッションが2015年10月1日に開催されました。LTE/LTE-Advancedに続く新しい移動通信方式の「5G」の概要とIT分野への影響も含めた今後の展開について議論が交わされました。

登壇したのは、通信事業者の代表としてNTTドコモから5G推進室 主幹研究員の奥村幸彦氏、ベンダーの代表としてノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア) シニア・テクノロジー・エキスパートの野地真樹です。日経テクノロジーオンライン/日経エレクトロニクス副編集長の中道理氏がモデレーターを務めました。中道氏は「ITpro EXPOの会場にはIT関連の来場者が多いですが、5GはITにも関連が深く今後のITビジネスにも影響を及ぼす可能性が高いです」と前置きし、5Gの概要説明を奥村氏に委ねました。

LTEの進化形と新技術を組み合わせが現実解
ドコモとノキアの共同研究も

奥村氏は「5Gの名称を初めて聞く人も多いということを前提に、5GとNTTドコモの活動を紹介します」と切り出しました。まず、携帯電話は第1世代が日本では1979年にサービスが開始され、概ね10年ごとに世代が変わってきたことを説明。直近では第4世代に分類されるLTE方式のサービス(ドコモではXi)が始まり、次の第5世代(5G)は2020年にサービスの提供が見込まれることを解説します。その上で「各世代は10年以上の寿命を持っていますから、5Gは2020年から2030年過ぎの時代に、モバイルネットワークがどのように使われるかを予測して提供する必要があります」(奥村氏)。

2020年から2030年にどのような世界が訪れているかについて奥村氏は、「スマートフォンやタブレットだけでなく、人が使うモノ、人が使うモノ以外のセンサーなど、ありとあらゆるモノに無線モジュールが搭載されて基地局とつながる世界が到来します」と紹介します。従来の音声や画像を伝えるサービスをさらに発展させるだけでなく、ヘルスケアや教育、自動車の自動運転などの新しい領域にも5Gが利用されるという観点です。そうした世界では、トラフィックが増えることが考えられます。「2020年から2030年の間に、2010年の1000倍のトラフィックがネットワークに流れます。5Gではそうした状況に対して準備をしていかなければいけないのです」(奥村氏)。

具体的には、高速化や大量のデバイスへの対応、低遅延の実現などが課題です。奥村氏は、高速化では、4GのLTE-Advancedで最大1Gbpsのピークレートを10Gbps以上に引き上げるだけでなく、環境の悪いところでもスループットを向上させ平均速度を現行の100倍などにすることで体感を改善することを挙げます。またセンサーなどのネットワーク化により、現状の100倍近いデバイスがつながることへの対応、マシン制御や自動運転自動車に使えるような低い伝送遅延のネットワークの構築も求められると説明します。

そうした中でドコモでは5Gの数多くの要求条件に対して無線アクセス技術をどのように進化させるかを研究、検討していると説明します。「1つは、既存のLTEやその進化形であるLTE-AdvancedのLTEファミリーを発展させる方法です。もう1つは、全く新しい無線インタフェースを作り上げる方法です。1000倍のトラフィックへの対応は、1つの技術だけでは難しく、これらの双方のアプローチで複数の技術を組み合わせて実現する方法が現実的でしょう」(奥村氏)と5Gの技術開発の基本方針を説明しました。

さらにドコモの取り組みについての説明もありました。「2020年に東京オリンピックが開催されますが、これに向けて5Gの能力を最大に発揮できる場所を検討しています。その1つが大規模なスタジアムです。NTTドコモは計算機シミュレーションによって7万人収容のスタジアムで5Gならば4K動画をそれぞれの人が見られることを確認しています。またノキアを含む世界のベンダーとの共同研究も進めています。ノキアとは5Gの電波を可視化する装置を作り、電波がユーザーを狙い撃ちするように追従して動くビームフォーミングの検証を行っています」(奥村氏)。

奥村氏は、「3GPPによる国際標準化は9月以降順次、仕様の決定が進んでいきます。3GPPでの標準化と並行して商用化する装置の開発を進めて、2020年に実現できるようにしたいと考えています」と今後の見通しを明らかにしました。

 

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