「5G」の最新動向とIoT時代のセキュリティ対策を詳説 ―ワイヤレスジャパン2015&ワイヤレス・テクノロジー・パーク2015 レポート

Date: 
22 June 2015
Location: 
日本

5Gの技術トレンドを理解し、IoTセキュリティの必要性を体感する――。日本を代表するワイヤレス通信関連のイベント「ワイヤレスジャパン 2015」と「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2015」が、2015年5月27日~29日に東京ビッグサイトで開催されました。その中でノキアソリューションズ&ネットワークス株式会社(以下、ノキア)は、来る5GとIoTについてブースの展示と講演を通じて最新の状況を来場者に伝えました。

ノキアブースで5Gの技術開発の最新状況をデモ

ワイヤレス・テクノロジー・パークに出展したノキアのブースでは日本において2020年の商用化が目標とされている次世代移動体通信方式「5G」について、大型ディスプレイを使って技術解説を行いました。

5Gでは、高いピークレート性能、低遅延・高信頼性、IoTなど多量のデバイスへの対応といった多方面の要求条件が考えられています。高いピークレート性能の要求については、現状のLTEなどで使っている周波数帯の電波よりも、一層高い周波数帯の電波を使うことが想定されています。センチメートル波(3GHz~30GHz)やミリ波(30GHz以上)といった高い周波数を併用して、ピークレートを確保します。ブースでは、ニューヨークのマンハッタン市街でこうした高い周波数帯を活用した場合の、スループットのシミュレーションの様子をデモで示しました。

高い周波数帯の電波は、光のような性質を持つため、自動車や人、樹木などの影に電波が届かない場所ができてしまいますが、低い周波数と併用することでエリアを確保しつつ数Gbpsのピークデータレートを得られることがシミュレーションで示されました。

また低遅延の要求条件については、クルマの追突防止などを目的とした車車間通信のシミュレーションがデモで示されました。低遅延を実現するためには、コアネットワークを経由せずに通信する手法が有効であることを示したものです。クルマとクルマが直接通信するデバイス間通信(D2D)や、街灯、信号機などに設置した基地局設備を介してクルマ同士が通信することで、コアネットワークを経由する場合よりも遅延が少なくなることを示しました。

無線通信技術の専門イベントだけあって、5Gの技術紹介が始まるとノキアのブースの前には多くの来場者が足を止め、説明を熱心に聞いていました。

無線技術だけでなくネットワークの進化も求められる5G

ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2015の有料セミナー「2020年にむけた5G開発と実用化の動向 パート1」では、テクノロジー・ディレクターの赤田正雄が「ノキアの5Gビジョンと5G最新技術動向」と題した講演をしました。

講演では、まず「5G」のユースケースは、4Gまでの移動体通信と異なりロボットや自動運転車、センサーネットワークなど非常に幅広いことを説明。それらのユースケースに対して5Gでは大きく「スループット」「遅延時間、信頼性」「端末数、コスト、消費電力」の3つの軸で要求条件に対応すると解説しました。5Gの多様な要求条件に対しては「1つのシステムですべて対応できるといいのですが、実際には難しいところです。そこでユースケースを3つのカテゴリーにわけることで、全体の要求条件を満たすような方法が考えられています」とシステム検討の方針を説明しました。

5Gでは、センチメートル波やミリ波といった高周波数の利用が検討されています。これに対しては「ピークデータレートで10Gbpsを実現するには、広い周波数帯域が必要になります。世界各国で共通で利用できる広い周波数帯域を求めると、今は通信に使われていない高い周波数帯を使わざるを得ないというのが本音です」。高い周波数になればなるほど電波が飛びにくいなどの特性があり、通信に利用しにくいのですが、5Gの要求条件を満たすために技術的にチャレンジしているというわけです。

現行のLTEよりも高い周波数帯を使うといっても、6GHzから30GHz程度の低い帯域(センチメートル波帯)と、30GHz以上の高い帯域(ミリ波帯)では、それぞれ特性が異なります。赤田は、ノキアの考え方として「センチメートル波帯ではLTEと同じOFDMベースの技術で8ストリームといった高ランクMIMOの利用が考えられています。一方でミリ波帯ではさらに電波が飛ばないために電波を端末のある方向に集中して照射するビームフォーミングが必要だと考えられています。その代わりにMIMOは2ストリーム程度の低ランクMIMOの採用になるでしょう」と、高い周波数といっても周波数帯によって異なる技術が利用されることを示唆しました。

技術開発の現状については、ノキアとニューヨーク大学が共同で開催した「Brooklyn 5G Summit」の成果を紹介しました。70GHz帯で10Gbpsのスループットによる伝送をデモで示したほか、三菱電機と共同でアンテナアレイを使ったマッシブアンテナのデモを行ったことを紹介しました。

講演では、無線技術だけでなく、ネットワーク側の技術も5Gの実現に重要であることを説明しました。「特に低遅延などの要件では、無線技術の向上だけでは限界があります。自動運転車などのソリューションで衝突防止のために5Gの通信を利用するとなると、コアネットワークを往復している時間はありません。基地局などで通信を処理できるようなモバイルエッジコンピューティングが必要になると考えられます」。

また、ネットワークのアーキテクチャとして、コアネットワークのクラウド化だけでなく、無線基地局まで含めてクラウド化をする「Nokia Radio Cloud」の考え方も披露しました。多彩な要求条件に応える必要がある5Gのネットワークは、クラウドの手法を使って柔軟に構築できるアーキテクチャが求められるというノキアの考えを具現化するものです。

このほかにも、5Gの標準化団体と思われることが多い「5G-PPP」が、欧州の共同研究の枠組みであるといった基礎的な理解に対する解説もありました。「3GPPの5G版と混同してしまう人が多いですが、5G-PPPは標準化組織ではありません。欧州の5Gへの取り組みの1つで、EUが資金を拠出し民間企業と共同で研究プロジェクトを推進するための業界団体です。実際には5Gも3GPPで技術標準をまとめることになると見られています」と、標準化の状況を解説しました。

 

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