Mobile World Congress 2015 フォローアップレポート 第1回 「One Nokia」が指し示す5Gの世界の全体像

Date: 
03 March 2015
Location: 
日本

2015年3月2日から3月5日にかけて、スペイン・バルセロナで通信分野の世界的なイベント「Mobile World Congress 2015」(MWC 2015)が開催されました。世界を代表する端末ベンダ、通信機器ベンダ、ソリューションベンダ、通信事業者などが一堂に会する中、ノキアも例年同様に大掛かりなブースを構えて、ノキアの製品や技術、コンセプトが築く今後のネットワークの姿をアピールしました。2020年に迫るLTE-Advancedの次の世代の移動体通信方式「5G」の実用化に向けた道筋を、ノキアの展示からご紹介します。

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MWC2015特集(見どころ)

「One Nokia」がネットワークからソリューションまでの5Gの世界観を描く

移動体通信技術の導入が早い日本や韓国、米国でも、ようやく本来の4G(第4世代移動体通信方式)のLTE-Advancedの技術を使ったサービスが実用化され始めたところですが、移動体通信方式としてはその先の2020年に商用化を目指す「5G」への注目が高まっています。MWC 2015に出展した多くの通信機器ベンダや通信事業者は、5Gへの取り組みをアピールしています。ノキアのブースでも「5G」に関連する展示は、招待客だけが閲覧できるクローズドスペースではなく、一般の来場者が閲覧できるオープンスペースで実施。来場者に広くノキアの5Gへの取り組みをアピールしました。

もう1つ、MWC 2015のノキアのブースには特徴がありました。2014年まで、MWCには「ノキアソリューションズ&ネットワークス (NSN)」として出展していましたが、今回のMWCは、端末部門をマイクロソフトに売却し事業を再編した「新生ノキア」として出展しました。ノキアには、通信機器事業を行う「Networks」のほかに、地理情報事業を展開する「HERE」、知的財産事業の「Technologies」の3つの部門があります。MWC 2015には、これらの3部門が初めて共同で出展したのです。

「5G」への要求条件が明確に、ミリ波で2Gbpsのデモも実施

2020年の実用化を目指す「5G」ですが、実際はまだ仕様も方式も、定まったものはありません。標準化作業がこれから始まるという段階です。そうした段階ではありますが、MWC 2015では「5G」の姿がはっきりして、進むべき方向が見えてきました。ノキアのブースでは、標準化団体のITU-R(国際電気通信連合の無線通信部門)で作成中の「ビジョン勧告」案に採用されている、ノキア提案の5Gビジョンの図を大きく掲げました。様々なユースケースを広くカバーするため、5Gでは10Gbps以上を目指す「スループット」の向上だけでなく、「信頼性向上や低遅延」「デバイス数の増加への対応」といった側面が重要になります。これらの3つの柱が「5G」を支えるという考え方です。

5Gの大黒柱のうちスループットの向上の側面で、ノキアはミリ波(mmWave)を使った高速伝送のデモを行いました。70GHz帯という高周波帯域を使い、1GHzの帯域幅を利用した高速データ通信の動態デモです。基地局側には、指向性が非常に強い「レンズアンテナ」を配置しました。対向する端末側の装置は、デモシステムの中を左右に移動します。基地局側のレンズアンテナは、端末装置のリアルタイムの位置に応じて電波を絞り込む「ビームフォーミング」を行い、絞り込んでいる様子が4×16に配置されたLED表示で示されました。MWC 2015のデモでは、歩行速度で移動する端末に対して、2Gbpsのスループットが得られることを示しました。

2Gbpsの動態デモを行ったミリ波帯のシステムは、NTTドコモ様と共同で実験中のものです。ノキアでは、6GHz越えの帯域を使った技術を韓国SK Telecomと検討するなど、高い周波数帯の利用が考えられている「5G」の中核となる技術開発で、世界をリードすることをアピールしました。

クルマの通信を実用化へ、端末機器の広がりも

新生ノキアが1つになった「One Nokia」を強く感じさせる展示も行いました。HEREの地図情報システムと、Networksが持つインテリジェント化した基地局システムの「Liquid Application」を組み合わせたソリューションのデモです。Liquid Applicationは、携帯電話基地局にサーバーの機能を備えることにより、高度な情報処理を基地局でも行えるようにするものです。

HEREと連携したデモは、クルマの走行情報などをLiquid Application対応の基地局で低遅延で処理するもの。基地局がカバーするエリアは半径300mから最大で半径2kmに及びます。このエリアにいるクルマの情報をリアルタイムに基地局で処理し、地図情報システムと連携して交通情報などの提供を可能にします。基地局で情報処理が行えるため、事故などが起きたことを検知した場合に、近隣のクルマにすぐに情報を伝えることができます。5Gの求める低遅延、高信頼性に応えるアプリケーションが、実現できるのです。

Technologiesは、「Nokia」のブランドと知的財産を活用した新しいビジネスの1つの形として、Nokiaブランドのタブレット「Nokia N1」を展示しました。中国市場で販売が始まったAndroidベースのタブレットで、ノキアが開発した手書きによるアプリケーション(アプリ)ランチャー「Z Launcher」を搭載しています。多くのアプリがインストールされたタブレットでも、頭文字を画面上に手書きすることで、簡単に目的のアプリを探して使えることをデモで示していました。来場者の関心は高く、デモコーナーは常に人だかりができていました。

タブレット端末のNokia N1は、Technologiesのビジネスモデルの1つの例です。ノキアは今後、ノキアのブランドと技術的な知的財産を生かし、コンシューマー向けの製品も含めて積極的に新しいビジネスモデルで展開していくことも明らかにしました。5Gの構成要素となる様々なタイプの端末の中に、ノキアのブランドを冠した製品が登場する可能性もあることをMWC 2015の場で示しました。

5G時代のセキュリティ対策も先取り

MWC 2015のノキアブースでは、5G時代を見据えたセキュリティ関連のデモも行われました。「Nokia Mobile Guard」と名づけたセキュリティソリューションです。

ノキアでは、スマートフォンなどの端末の上で、悪意あるソフトウエアの「マルウエア」が活動していることを、通信事業者のネットワーク側から検知するしくみを研究開発してきました。MWC 2015に出展したNokia Mobile Guardは、その成果の1つです。端末側には特別なアプリケーションなどを導入することなく、ネットワーク側の挙動からマルウエアの活動などを推論し、警告を上げることができます。

5G時代にこうしたセキュリティ対策が必要になる理由は、端末の種類が広がることにあります。スマートフォンなど、人間が直接利用する端末であれば、万が一マルウエアに感染して不自然な挙動を示した場合、利用者が気づいて対策を取ることも可能です。しかし、センサーや監視カメラ、冷蔵庫などが5Gのネットワークの端末として膨大に利用されるようになったとき、それらの機器にマルウエアが感染してしまうと対策が難しいのです。

Nokia Mobile Guardのデモでは、監視カメラがマルウエアに感染し、監視カメラの通常の動作ではあり得ない頻度のWebアクセス(http)や認証されていないプロトコルの通信などの挙動を示した場合に、ネットワーク側で即座にアラートが上がることを示しました。今後やってくる「5G」の時代に、3本の柱をさらに支える土台としてのセキュリティ対策が必要なことをアピールしたデモでした。

 

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